1日1万歩は本当に必要?最新研究が教える理想の歩数とウォーキング術

健康・ウェルネス

「1日1万歩歩けば健康になれる」という言葉を、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか? 多くの人が健康のために目標とするこの歩数。しかし、本当に1万歩も歩く必要があるのでしょうか?

近年、さまざまな研究が行われ、1万歩という数字の根拠や、歩数と健康の関係性について新たな知見が得られています。

この記事では、最新の研究結果に基づきながら、1日1万歩の由来、健康効果、そして年代・ライフスタイル別の理想の歩数について詳しく解説していきます。

「1日1万歩」の誕生秘話

1日1万歩という目標が生まれたきっかけは、1964年の東京オリンピック開催時に遡ります。当時、国民の健康増進を目的とした「1日1万歩運動」を国民的運動にする機運が高まっていました。1

この運動をさらに促進するために、山佐時計計器株式会社が世界初の歩数計「万歩メーター」を開発・発売しました。 1 「万歩メーター」は、文字盤の針が1周すると1万歩になるように設計されており、1万歩という数字が視覚的に意識しやすいようになっていました。 2

興味深いのは、1万歩という数字自体には、当初明確な科学的根拠があったわけではないということです。 3 歩幅70cmで1万歩歩くと約7kmになり、「少なくともこのくらいは歩いてもらいたい」という思いから設定されたと言われています。 2 しかし、東京オリンピックと歩数計発売のタイミングが重なったこと、そして「万歩計」というネーミングのインパクトも相まって、1日1万歩は瞬く間に国民的な目標として定着していきました。 3

1万歩は健康に良い?

長年、1日1万歩は健康の指標として広く認識されてきましたが、近年ではその効果について疑問視する声も上がっています。 4

1万歩の効果を裏付ける研究

1万歩の効果を支持する研究として、アメリカ国立がん研究所が行った調査があります。40歳以上の男女5000人を対象としたこの調査では、1日4000歩の人に比べて、1日8000歩、1万2000歩の人の死亡率が低いという結果が出ています。 5 つまり、歩数を増やすほど死亡リスクが低下する傾向が見られたのです。

具体的には、1日の歩数が1000歩増えるごとに死亡リスクは15%減少し、500歩増えるごとに心血管疾患による死亡リスクは7%減少するという研究結果もあります。 6

1万歩は必ずしも必要ではないという研究

一方で、1万歩まで歩かなくても、ある程度の歩数で健康効果が得られるという研究結果も出ています。

例えば、ハーバード大学の研究では、1日7500歩程度でも、1万歩以上歩いた場合と健康効果に大きな差がないことが示されています。 4 また、60歳以上の高齢者では、1日5000~7000歩で死亡リスクへの有益な効果が頭打ちになるという研究結果もあります。 7

さらに、総歩数に関係なく、歩行速度が速いほど死亡リスクが低下するという研究結果も報告されています。 8

最新の研究が示す、健康寿命を延伸するための歩数

京都府立医科大学の研究チームがAI指標を用いた研究によると、健康寿命を伸ばすには1日9,000歩、健康状態の改善には1万1,000歩必要であるという結果が出ています。 9

1万歩で期待できる効果

具体的な健康効果としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 生活習慣病の予防: 10 ウォーキングは、血圧や血糖値を下げ、体脂肪を減らす効果があるため、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の予防に役立ちます。
  • 心疾患・脳卒中のリスク低下: 11 毎日5000歩歩くことで、心疾患や脳卒中のリスクを減らすことができます。
  • 認知症予防: 11 ウォーキングは、脳の血流を促進し、認知機能の低下を防ぐ効果も期待できます。
  • メンタルヘルスの改善: 10 ウォーキングは、ストレス解消や気分転換にも効果的であり、うつ病の予防にもつながります。 4000~5000歩でも気分が晴れやかになるという報告もあります。 12
  • がんによる死亡リスクの低下: 10 日々の歩数が多い人ほど、がんによる死亡リスクが少なくなるとの研究結果があります。特に男性で顕著な効果が見られます。
  • 骨粗鬆症の予防: 13 ウォーキングは、骨に適度な刺激を与えることで、骨密度を高め、骨粗鬆症の予防に役立ちます。

重要なのは、歩数よりも「歩くこと」

これらの研究結果から、1万歩という数字はあくまでも目安であり、年齢や健康状態、ライフスタイルによって理想的な歩数は異なるということがわかります。 13 14 7

大切なのは、毎日継続して歩くことです。1万歩に届かなくても、少しでも多く歩くことを心がけましょう。 15 運動強度を高めることも重要ですが、無理のない範囲で行うことが大切です。 16

年代別に見る理想の歩数

年代別に見た理想の歩数は、以下の通りです。 13

年齢男性女性
20~64歳9,000歩8,500歩
65歳以上7,000歩6,000歩

ライフスタイルによって、1日の平均歩数は大きく異なります。例えば、医療・福祉・介護の仕事に従事している人は、患者のケアなどで1日中病院内を歩き回ることが多く、平均歩数は1万歩を超えるという報告もあります。 14 一方、デスクワーク中心の人は、意識的に歩数を増やす工夫が必要です。

歩き方や頻度(まとめ歩き vs. こまめに歩く)

「まとめて歩くのと、こまめに歩くのはどちらが良いのか?」という疑問を持つ方もいるかもしれません。

研究によると、10分間の歩行を3回行うのと30分連続で歩くのとでは、健康改善効果は変わらないという結果が出ています。 17 こま切れ時間でも、歩行時間を確保することで、同様の効果が期待できるのです。

また、早歩きとゆっくり歩きを交互に繰り返す「インターバル速歩」は、体力向上、生活習慣病の改善、気分障害の改善、睡眠の質の改善、関節痛の改善、骨粗鬆症の改善などに効果があるという研究結果も報告されています。 18 19

専門家(医師・運動生理学者など)の意見・見解

多くの専門家が、健康維持のためにウォーキングを推奨しています。

医師の大谷義夫先生は、1日1万歩を目標にすることを推奨しています。 20 その根拠として、アメリカ国立がん研究所の研究を挙げ、歩数を増やすほど死亡率が下がるという結果を紹介しています。 21

また、青栁幸利先生は、健康維持には「1日8000歩/20分速歩き」がベストであると提唱しています。 22 さらに、運動不足の人は、まずは1日4000歩を目標に始めて、徐々に歩数を増やしていくことを勧めています。 22

読者が今日から実践できる具体的なウォーキング習慣の提案

  • 毎日の生活にウォーキングを取り入れる: 通勤時に一駅分歩く、エスカレーターではなく階段を使う、買い物に行く際に少し遠回りをするなど、日常生活の中で意識的に歩く機会を増やしましょう。
  • こまめな運動を習慣化する: 10分程度の短いウォーキングでも、こまめに行うことで健康効果が期待できます。
  • インターバル速歩を取り入れる: 早歩きとゆっくり歩きを交互に繰り返すことで、より効果的に体力向上を目指しましょう。
  • 歩数計やアプリを活用する: 歩数計やスマートフォンアプリを使って、毎日の歩数を記録することで、モチベーションを維持することができます。
  • 無理のない範囲で継続する: 自分の体力や体調に合わせて、無理のない範囲でウォーキングを継続することが大切です。

まとめ

1日1万歩は、健康を意識する上でのわかりやすい目安として、長年多くの人々に親しまれてきました。しかし、最新の研究では、必ずしも1万歩にこだわる必要はなく、年齢や体力、ライフスタイルに合わせて無理のない範囲で歩数を増やすことが重要であることが示唆されています。

この記事では、1万歩の由来から最新の研究結果、そして専門家の意見まで、幅広く情報を網羅しました。この記事が、あなたにとって理想的な歩数を見つけるための一助となれば幸いです。

重要なのは、毎日継続して歩くことです。1万歩という数字にとらわれず、まずは自分のペースでウォーキングを始めてみましょう。そして、歩くことを習慣化することで、健康的な毎日を送ることを目指しましょう。

引用文献

1. www.yamasa-tokei.co.jp, 3月 13, 2025にアクセス、 http://www.yamasa-tokei.co.jp/top_category/history2.html#:~:text=1963%E5%B9%B4(%E6%98%AD%E5%92%8C38%E5%B9%B4,%E9%96%8B%E7%99%BA%E3%82%92%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%88%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82

2. 歩数計のパイオニアメーカー。万歩計®を作りつづけて50年以上の実績。 歩数計の代名詞となっている「万歩計」は山佐時計計器株式会社の登録商標です。 – 万歩計®の山佐(ヤマサ YAMASA), 3月 13, 2025にアクセス、 http://www.yamasa-tokei.co.jp/top_category/history2.html

3. 「1日1万歩」には根拠なし 健康維持の秘訣は歩数よりも運動時間 – ログミーBiz, 3月 13, 2025にアクセス、 https://logmi.jp/knowledge_culture/culture/322121

4. 「健康のために1日1万歩」はいらない?4400歩で効果は充分と新論文が発表 – MELOS, 3月 13, 2025にアクセス、 https://melos.media/wellness/55158/

5. いいことづくし! 1日の目標を1万2千歩から6千歩に減らした私に起きたこと – Women’s Health, 3月 13, 2025にアクセス、 https://www.womenshealthmag.com/jp/fitness/g44310661/is-10k-steps-needed-20230712/

6. たとえ1日2000~4000歩でも「歩けば歩くほど死亡リスクを減らせる」ことが判明 – GIGAZINE, 3月 13, 2025にアクセス、 https://gigazine.net/news/20230809-walk-fewer-steps-lower-death-risk/

7. 高齢者の寿命延長に必要な歩数は? – 早稲田大学, 3月 13, 2025にアクセス、 https://www.waseda.jp/top/news/87443

8. 健康維持に必要な1日の最小歩数はどれくらいか? – 三浦メディカルクリニック, 3月 13, 2025にアクセス、 https://miura-medical.clinic/blog/archives/2007/

9. AI指標によると、健康寿命を伸ばすには1日9000千歩、健康状態の改善には1万1000歩 京都府立医科大学 – スポーツ栄養 Web, 3月 13, 2025にアクセス、 https://sndj-web.jp/news/002817.php

10. ウォーキングは健康に効果的?研究データを基に詳細を解説! – KIWI GO, 3月 13, 2025にアクセス、 https://kiwi-go.jp/column/walking-data/

11. 健康に過ごすための歩数は一日何歩?歩数ごとに期待できる効果を紹介 – 健康情報コラム, 3月 13, 2025にアクセス、 https://www.suntory-kenko.com/column2/article/8469/

12. 1日1万歩は必要ない? 最新医学でわかった「正しい運動のやり方」とは【医者が教える健康の新常識】 | 花人日和 | 暮らしを豊かに、私らしく – サライ.jp, 3月 13, 2025にアクセス、 https://serai.jp/kajin/1166951

13. 健康長寿に効果的なウォーキング, 3月 13, 2025にアクセス、 https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/rouka-yobou/haya-aruki.html

14. 【仕事別歩数ランキング】あなたは仕事をしながらどのくらい歩いてる?, 3月 13, 2025にアクセス、 https://service.paycierge.com/column/survey-steps-by-occupation/

15. 1日1万歩は必要ない? 最新研究でわかった死亡リスク減らすウォーキングの歩数, 3月 13, 2025にアクセス、 https://globe.asahi.com/article/14997620

16. 1日の歩数が多いほど、死亡リスクは低下/JAMA|CareNet.com, 3月 13, 2025にアクセス、 https://www.carenet.com/news/journal/carenet/49822

17. ウォーキングは短時間の「こま切れ歩き」でOK!連続歩きと同じ体重減少効果が – 家庭画報, 3月 13, 2025にアクセス、 https://www.kateigaho.com/article/detail/88490

18. 「歩き方を変える」だけで10歳若返る – 信州医学会, 3月 13, 2025にアクセス、 http://s-igaku.umin.jp/DATA/62_02/62_02_07.pdf

19. インターバル速歩の効果 | 健康長寿ネット, 3月 13, 2025にアクセス、 https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shintai-training/intabarusokuho.html

20. 【まさか!】医者が「1日8000歩」より「1万歩」をすすめる驚くべき理由 | ORICON NEWS, 3月 13, 2025にアクセス、 https://www.oricon.co.jp/article/2417986/

21. 【まさか!】医者が「1日8000歩」より「1万歩」をすすめる驚くべき理由 – ダイヤモンド・オンライン, 3月 13, 2025にアクセス、 https://diamond.jp/articles/-/332812

22. ウォーキングで健康維持!最適な効果が出る歩数と時間 | ハルメク美と健康, 3月 13, 2025にアクセス、 https://halmek.co.jp/beauty/c/healthr/2439

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