作曲をしていると、コード進行がマンネリ化してしまったり、メロディーに物足りなさを感じたりすることはありませんか?
音楽理論の基礎を学んだあなたは、きっと次のステップに進みたいと思っているはず。そんな悩みを解決してくれるのが、テンションコード、モーダルインターチェンジ、非和声音といったテクニックです。
これらのテクニックを効果的に使うことで、楽曲に彩りを加え、より深みのある表現を実現することができます。
この記事では、それぞれのテクニックについて、有名楽曲の分析を交えながら分かりやすく解説していきます。さらに、作曲初心者の方でもすぐに実践できるよう、具体的なコード進行例や音源もご紹介します。
1. テンションコード
1.1 テンションコードとは?
テンションコードとは、基本的なコード(トライアド)にテンションノートと呼ばれる音を付加することで、コードに緊張感や華やかさを加えるテクニックです。
例えば、Cメジャーコード(C)にテンションノートを加えると、Cmaj7、C7、Cm7(♭5)といったコードになります。
1.2 テンションコードの種類と構成音
テンションコードの種類は、付加するテンションノートによって様々です。テンションノートは、基本的にはコードの構成音のルートから数えて9th、11th、13thの音になります。
例えば、Cメジャーコードのテンションノートは、
- 9th:D(レ)
- 11th:F(ファ)
- 13th:A(ラ)
となります。
これらのテンションノートを加えることで、コードに様々な表情を加えることができます。例えば、9thはコードに浮遊感や幻想的な雰囲気を与え、13thは柔らかくメロウな響きを加えます。
代表的なテンションコードの種類と構成音を以下に示します。
| コード | 構成音 |
|---|---|
| Cmaj7 | C – E – G – B |
| C7 | C – E – G – B♭ |
| Cm7(♭5) | C – E♭ – G♭ – B♭ |
| Cadd9 | C – E – G – D |
テンションコードを使用する際は、不協和音やボイシングに注意する必要があります。 例えば、テンションノートをメロディーに使用する場合、コードトーンとぶつからないように配置を工夫したり、解決先を意識することで、自然な響きになるようにしましょう。
1.3 有名楽曲におけるテンションコード
テンションコードは、ジャズやR&Bはもちろん、J-POPなど様々なジャンルの楽曲で広く使われています。
例えば、Official髭男dismの「Pretender」では、サビ前のコード進行でDm7 – G7 – CM7 というように、ドミナントモーションにテンションコードが使われています。
このG7は、Gメジャーコードにドミナントセブンス(7th)を加えたテンションコードで、CM7への解決をスムーズにし、楽曲に豊かな響きを与えています。
テンションコードは、単に複雑さを加えるだけでなく、感情的なインパクトを与えたり、聴く人の耳を特定の方向に導いたりするためにも使用されます。 「Pretender」のG7は、CM7に解決する前の期待感や緊張感を高める効果があり、聴く人をサビへと引き込んでいます。
2. モーダルインターチェンジ
2.1 モーダルインターチェンジとは?
モーダルインターチェンジとは、楽曲中で一時的に異なる調(モード)のコードを借用することで、楽曲に変化や意外性を与えるテクニックです。
モーダルインターチェンジは、クラシック音楽で「借用和音」として古くから使われてきたテクニックです。 近代以降は、ジャズやポピュラー音楽にも広く取り入れられるようになりました。
例えば、Cメジャーキーの楽曲中で、Cメジャースケールには含まれていないAm(Aマイナー)を借用することで、短調の響きを取り入れることができます。
2.2 モーダルインターチェンジの効果
モーダルインターチェンジには、平行調、近親調、同主調など、様々な種類があります。 それぞれのモーダルインターチェンジによって、楽曲に異なる効果を与えることができます。
例えば、平行調からの借用は、楽曲に哀愁や叙情的な雰囲気を加える効果があり、近親調からの借用は、楽曲に意外性や転調のような効果を与えることができます。
モーダルインターチェンジは、楽曲に独特な雰囲気や色彩を加えることができます。
例えば、The Beatlesの「Let It Be」では、Cメジャーキーの楽曲でありながら、サビで♭VII(B♭)のコードが使われています。
これはモーダルインターチェンジによって、Cメジャーキーの平行調であるAマイナーのコードを借用したもので、楽曲に哀愁漂う雰囲気を与えています。
モーダルインターチェンジは、このように楽曲に驚きを与えたり、特定のムードを evoke するために使用することができます。
3. 非和声音
3.1 非和声音とは?
非和声音とは、コードの構成音ではない音のことです。メロディーラインに非和声音を効果的に使用することで、メロディーに動きや表情を与えることができます。
非和声音は、コードトーンに対して、メロディーに緊張感や解放感、あるいは流れを与える役割を果たします。
代表的な非和声音としては、パッシングトーンやアプローチノートなどがあります。
3.2 非和声音の種類と使い方
非和声音には、パッシングトーンやアプローチノート以外にも、サスペンションやアンティシペーションなど、様々な種類があります。
パッシングトーンは、2つのコードトーンの間を滑らかに繋ぐ音です。例えば、C – E の間にDを入れることで、メロディーに流れるような動きを与えることができます。
アプローチノートは、コードトーンに接近する音です。例えば、Cに解決する直前にDを入れることで、メロディーに緊張感と解放感を与えることができます。
サスペンションは、前のコードの構成音を次のコードで伸ばしたり、タイで繋いで保持することで、コードの変化に独特の緊張感を与える非和声音です。
アンティシペーションは、次のコードの構成音を前のコードで先取りすることで、コードの変化を予感させる効果を持つ非和声音です。
非和声音のリズム配置は、楽曲のグルーヴに大きな影響を与えます。 例えば、シンコペーションのように、拍の頭に非和声音を置くことで、メロディーに躍動感を与えることができます。
3.3 有名楽曲における非和声音
非和声音は、多くの楽曲で効果的に使われています。
例えば、米津玄師の「Lemon」では、Aメロのメロディーラインに多くの非和声音が使われています。
具体的には、「♪あの日の悲しみさえ」の部分で、コードトーンではない音が滑らかに繋がっているのが分かります。 ここでは、E♭ – D – C というメロディーラインに対して、Cmaj7のコードが使われており、DとE♭は非和声音であるパッシングトーンとして機能しています。
非和声音は、このようにメロディーに前進感を与えたり、解決する不協和音を加えることで、楽曲に面白みを加えることができます。
4. 作曲への活用方法
4.1 シンプルなコード進行に変化を加える
テンションコードやモーダルインターチェンジをシンプルなコード進行に加えることで、楽曲に個性や深みを与えることができます。
例えば、C – G – Am – Em という定番のコード進行に、テンションコードやモーダルインターチェンジを適用してみましょう。
- テンションコードを加える: Cmaj7 – G7 – Am7 – Em7
- モーダルインターチェンジを加える: C – G – Am – E
このように、少し手を加えるだけで、コード進行の印象が大きく変わります。
4.2 メロディーに表情をつける
非和声音を効果的に使うことで、メロディーに抑揚や感情を表現することができます。
例えば、単調なメロディーラインにパッシングトーンやアプローチノートを加えることで、メロディーに動きが出て、より生き生きとした印象になります。
5. まとめ
この記事では、テンションコード、モーダルインターチェンジ、非和声音といった作曲テクニックについて解説しました。
これらのテクニックをマスターすることで、コード進行やメロディーのバリエーションを増やし、より表現力豊かな楽曲制作が可能になります。
作曲初心者の方は、ぜひこの記事を参考に、色々な楽曲を分析したり、実際に自分でコードを組み立てたりしながら、これらのテクニックを自分のものにしていきましょう。
これらのテクニックを学ぶことは、音楽の表現力を広げるための第一歩です。自分自身のスタイルを確立し、より個性的な楽曲を生み出すために、積極的に実験し、様々な音楽を聴いて、自分自身の感性を磨いていきましょう。
6. さらに学びたい方のために
テンションコード、モーダルインターチェンジ、非和声音について、さらに深く学びたい方のために、参考になる書籍、ウェブサイト、動画をご紹介します。
- 書籍:
- ジャズ・セオリー [リットーミュージック]
- コード進行の作り方 [ヤマハミュージックメディア]
- ウェブサイト:
- 音楽理論.com
- 作曲ラボ
- 動画:
- ヤマハムusic Japan公式チャンネル
- アット・ ease
これらの資料を参考に、さらに学習を深めてみてください。


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